最近海外のEDH動画をよく観ている。そんな中、これらの動画で使われているニヴミゼットの構築が自分の使っているものと、カード選択、ゲームプラン共に多少異なっていることに気が付いた。
https://www.youtube.com/channel/UCYMffqzsFtyN7RsrYQffnzg
https://www.youtube.com/watch?v=5LkzhLSutnM
https://www.youtube.com/watch?v=mwSruOuvsI8&t=1216s
むろんEDHの構築は人によって差異は生じる。しかし海外はこんななのかと漠然とレシピを眺めても自己の成長にはつながらない。そこで海外の構築と自分の構築を比較検討し、それぞれの違いを分析していくことにした。今回比較するのは海外で比較的メジャーだと思われる(だよね?)EDHRECというサイトにあるcEDHニヴミゼットのものを用いた。
自分の構築は以前のブログにて解説した下記のものを用いる。
https://tappedout.net/mtg-decks/niv-mizzet-parun-control-cedh/(海外)
https://ryo1zzet.diarynote.jp/202004292205363618/(自分)
共通個所計66枚
Land(25)
フェッチ8
Volcanic Island
蒸気孔
シヴの浅瀬
滝の断崖
灼熱島嶼域
統率の塔
セファラドの円型競技場
山
島9
Removal (2)
モグの分捕り
紅蓮地獄
Utility(1)
乱動への突入※海外は《一瞬》だが同型再販なため差異にカウントしない。《乱動への突入》のがイラストが上
Counterspell(10)
否定の契約
精神的つまずき
白鳥の歌
払拭
遅延
マナ吸収
否定の力
激情の後見
意志の力
偏向はたき
Mana(13)
魔力の墓所
モックスダイヤモンド
金属モックス
オパールのモックス
太陽の指輪
魔力の櫃
友なる石
イゼットの印鑑
秘儀の印鑑
独創のタリスマン
Copy Artifact
波止場の激浪者
連合の秘宝
Draw/Selection/Tutor(11)
ギタクシア派の調査
渦まく知識
思案
定業
師範の占い独楽
大慌ての探索
時を超えた探索
神秘の教示者
商人の巻物
Mistic Remora
リスティックの研究
Combo (2)
好奇心
知恵の蛇の目
Stax(3)
墓掘りの檻
呪われたトーテム像
締め付け
1.共通するカードと役割の比較
共通しているのは66枚、実に33枚ものカードが異なっていることが分かった。それではカードの役割ごとの枚数を比較する。
海外
Land(32)
Removal(6)
Utility(4)
Counterspell(17)
Mana (16)
Draw/Selection/Tutor(16)
Combo (4)
Stax (4)
自分
Land(33)
Removal(2)
Utility(2)
Counterspell(12)
Mana (18)
Draw/Selection/Tutor(21)
Combo (2)
Stax (4)
TimeWarp(5)
最も顕著なのは妨害の差だろう。海外は打消し、除去に合計27枚を割いているに対し自分のものは16枚、そのスロットにサーチやドロー、追加ターンスペルを搭載している。
この枚数の差はそのままゲームプランにも影響してくる。海外のものはゲーム序盤盤面のコントロールに徹する。ジェネラルの早期着地はそこまで重要視しておらず、妨害でゲームを長引かせ、隙を見て打消しを構えながらジェネラルを着地させる。それに対して自分のものはニヴミゼットの着地を4ターン目に安定させるように構築している。睡蓮の花ギミックに代表されるように序盤でこれらのマナ加速を目指し、ニヴが出た後の中盤以降を追加ターンや妨害でつなぎコンボを目指す。
前者が後者に勝っている点はジェネラル依存の低さだ。コントロール奪取によってニヴミゼットを取られてしまいそのままゲームエンドというパターンが発生しにくい。また序盤の脅威を弾き続けることによってゲームを長引かせることに長けている。後者と比べて平均的なゲーム速度を落とす力は高いだろう。しかしながらこの戦略には欠点が多いように感じる。そもそもEDHという多人数戦での打消し、除去は強いカードではない。プレイヤーAのカードにプレイヤーBが打消し、除去を打つとプレイヤーA、プレイヤーBがともにアドバンテージマイナス一枚、プレイヤーCDは相対的に得をしてしまうからだ。ひたすら妨害に徹すれば徹するほど、他のプレイヤーにとって都合のいい損な役回りになってしまう。
そこを解消するのがジェネラルニヴミゼットの存在だ。スペルにキャントリップ、除去を付与するこのドラゴンによって発生するやり取りを損せず、いや場合によっては大きくアドバンテージを獲得しつつ行うことが出来る。なのでこのドラゴンを早期に着地させることこそが損な役回りにならない手段なのだ。またジェネラル依存の問題点であるコントロール奪取は、手札で回避できる場面も多い。EDHでよく使われるコントロール奪取は《金粉のドレイク》、《誘惑撒き》等のクリーチャ―、《不実》、《精神支配》のようなエンチャントが主だろう(エムラクールは知らん)。前者はスタックでカードを使い打ち落とす、後者は統率者2020で2枚も加わったピッチスペルで回避可能だ。ジェネラルを早く着地させることこそがこのジェネラルで勝つために必要なことであると感じる。続いてそれぞれのカード選択を比較する。
2.それぞれのカード選択
①Land
海外土地32枚
共通25枚
《山》+1
《真鍮の塔》
《マナの合流点》
《禁忌の果樹園》
《風変わりな果樹園》
《色あせた城塞》
《反射池》
自分土地33枚
共通25枚
《島》+4
《神秘の聖域》
《硫黄の滝》
《古えの墳墓》
《宝石の洞窟》
前者が2色ランドを多く採用しているに対し、自分の方は《神秘の聖域》を活かすマナ基盤となっている。前者デッキ内の赤シンボル15に対し、後者は10であるため赤マナの総数があちらの方が多いためこれが上記のマナ基盤の背景か。
《宝石の洞窟》不採用は意外だった。恐らく序盤を除去や打消しでやり過ごす関係上手札消費を抑えたいのだろう。海外のものは7ドロー系不採用であることも関係していると思われる。
《古えの墳墓》不採用というのは検討の余地があると感じた。確かにニヴミゼットキャストに貢献しないこれを採用するよりは、貴重なマナを消費しない色マナ加速である他の土地に差し替えてもいいかもしれない。2マナ色ファクトを多くとっているリストだといいかもしれないが現状《イゼットの印鑑》、《独創のタリスマン》、《秘儀の印鑑》、《友なる石》の4枚しかとっていないため抜いてもいいかもしれない。
②Removal、Utility
海外Removal6枚、Utility4枚
共通3枚
《金粉のドレイク》
《猿術》
《横揺れの地震》
《水没》
《交錯の混乱》
《応じ返し》
《呪文滑り》
自分Removal2枚、Utility2枚
共通3枚
《サイクロンの裂け目》
自分が計4枚しか採用していないこれらの除去やバウンスを海外のリストだとプラス6枚採用している。《金粉のドレイク》は以前採用していたがサーチ不可、卓によって強さが安定しないといった点が気になり結局抜けてしまった一枚だ。この構築のように《帝国の徴募兵》、《交錯の混乱》を採用しているならいい選択だと思う。もし戻すなら3枚セットか。徴募兵持ってないんだよな・・・。
緑に負けるゲームは一定数あるため追加の紅蓮地獄として《横揺れの地震》はいい選択かもしれない。雑魚狩りだけではなく全体除去としても機能する点は評価できる。入れるならインスタントである《コジレックの帰還》と枠を争うことになるか。エドリック虐待がやはり板。《呪文滑り》は自分の《呪われたトーテム像》に引っかかる点が気になる。自分にも被害及ぼすカードと両立するのあんま好きじゃないんだよね。ここもサーチ可能な上記とセットか。《応じ返し》は使ったことがないが、流石に弱そう。一応今度試す。《サイクロンの裂け目》は必須の一枚だと考えていたがないのは驚いた。商人の巻物等でサーチする場面も多く脅威をまとめて引き飛ばし勝ったことも何度もある。あとイゼット団の透かしがかっこよくfoil映えする。
③Counterspell
海外打消し17枚
共通10枚
《狼狽の嵐》
《紅蓮破》
《赤霊破》
《呪文嵌め》
《神秘の論争》
《誤った指図》
《対抗呪文》
自分打消し12枚
共通10枚
《頑固な否認》
《秘儀の否定》
海外の打消しの多さが如実に表れた結果となった。《呪文嵌め》なんて茜ちゃんのキッチン・テーブルMTG(神。観ろhttps://www.nicovideo.jp/watch/sm32112040)でしかみたことねえぞ・・・。憎き《無のロッド》、《石のような静寂》、《溜め込み屋のアウフ》を消せる点は評価できるか。《頑固な否認》の不採用からはやはりニヴミゼット着地に対する考え方の違いが表れている。枠の問題で抜けてしまった《誤った指図》は戻したいところ。他は取るほどじゃないかな。
④Mana
海外マナ加速16枚
共通13枚
《遵法長、バラル》
《風雲船長ラネリー》
《背信のオーガ》
自分マナ加速18枚
共通13枚
《睡蓮の花》
《水連の花びら》
《火想者の器》
《ファイレクシアの変形者》
《金粉の水連》
海外が《金粉の水連》を取っていないことが意外だった。《魔力の墓所》、《太陽の指輪》、《魔力の櫃》等のマナ加速をニヴに変換するための良い選択だと思うのだが。こっちは《火想者の器》まで取ってるというのに。《遵法長、バラル》の選択は、海外のとにかく序盤は構えるというスタイルに合った良い選択だと思う。個人的にはニヴミゼットのキャストに貢献しないマナ加速はあまり信用していないが、ティムナやエドリック等の殴ることでアドバンテージを生むカードに耐久が増えるのは大きな利点。
反対に《背信のオーガ》はあまり良い選択には思えない。クリーチャーがジェネラルを含め7体と少なくガラ空きになりやすい、そのうえ長期戦を目指すこのデッキにはあまり適していないように思える。もしこのカードを戦場に出したターンにニヴミゼットを唱えようとすると(3)+R+UUUで計7マナかかってしまう。無色マナしか出ないカードが極力抑えられているこのジェネラルにおいてはそこまで無色マナのフィルターは必要ないだろう。出した次のターンにニヴミゼットを出すことを考えると戦場に置いた後一周回してしまうことになるが、一周回すリスクを背負ってまで採用するほどのメリットには思えない。もし刹那的マナ加速を求める場合でもニヴ着地後にはドローに変換可能な《発熱の儀式》、《捨て身の儀式》を選択する方がリスクが少なく、良い選択と思われる。
《風雲船長ラネリー》については検討したことなかったので試してみたいと感じた。2ターン連続で殴れると《連合の秘宝》のように機能し、ニヴ着地後にも継続してマナを稼いでくれる。《暴動の長、ラクドス》で見たことがあったので選択肢に加えるべきだった。
⑤Draw/Selection/Tutor
海外Draw/Selection/Tutor16枚
共通11枚
《帝国の徴募兵》
《手練》
《衝動》
《嘘か真か》
《明日からの引き寄せ》
自分Draw/Selection/Tutor21枚
共通11枚
《選択》
《目くらましの呪文》
《親身の教示者》
《ギャンブル》
《Wheel of Fortune》
《意外な授かりもの》
《噴出》
《発明品のうねり》
《時のらせん》
《宝船の巡航》
《衝動》は純粋に使用感が気になった。2マナインスタントで打つドロー系のスペルの中では、比較的有用な札ではあるので2マナがどれほど響くか、ドローじゃない点が目立つかどうかが採用の分かれ目か。《手練》は《選択》の方がこのジェネラルにおいては優れているように感じる。どちらも見ることが出来るカードは2枚。効果だけを見ると手練の方が両方を見たうえで決められる点から優れているが、ジェネラル着地後の強さに大きく差がある。メインフェイズの1点火力と《ショック》どちらが優れているかは言うまでもない。ここも考え方の差か。
《Wheel of fortune》等の7ドローの有無は前述の《宝石の洞窟》、《水連の花びら》の有無にも影響しているのだろう。確かにEDHにおける7ドロー系は何も考えずに採用できるようなカード群ではない。自分の7枚に対し対戦相手には新たな計21枚を配ることになるハイリスクなカードだ。ここを比較的安全な《明日からの引き寄せ》、《嘘か真か》に変えた選択はありだとは思う。長くなりそうだしここだけ別で整理するかも。
《帝国の徴募兵》は他の項目で触れたのでスルー。何かとセットで採用する札。
⑦Combo
海外コンボ4枚
共通2枚
《二人組の見張り番》
《光り角の海賊》
自分コンボ2枚
共通2枚のみ
勝ち手段の枚数については前回書いたので割愛・・・する予定だったが《光り角の海賊》についての考え方が興味深かったためそこだけ触れる。大まかに要約すると(EDHRECのCombo Glint-Horn Buccaneerの項参照)ニヴより早くキャスト出来て好奇心系と組み合わせれば4枚ドロー、さらにクリーンナップフェイズに致死量のダメージを与えられる可能性がある、また複数回ニヴが除去されたゲームの保険にもなる。1スロットでこれだけの仕事ができるのは大変大きな価値があるというものだ。赤ダブルシンボルが気になり距離を置いていたが試してみようと思った。
⑧Stax
海外妨害置物4枚
共通3枚
《血染めの月》
自分妨害置物4枚
共通3枚
《倦怠の宝珠》
ここはほぼ似通った結果となった。以前《血染めの月》、《基本に帰れ》ともに採用していたが自分に影響を及ぼす場面が思ったより多く、不自由に感じ《倦怠の宝珠》に乗り換えた背景がある。《閃光》禁止後にあまりゲームできていないこともありここは今後の環境の推移次第で再考すべきか。
⑨TimeWarp
海外不採用
自分追加ターン5枚
《時間のねじれ》
《時間操作》
《荊州占拠》
《時間の熟達》
《運命のきずな》
青いEDHなら追加ターンは入る、などとは考えていない。戦略的に必要な《トレストの密偵長、エドリック》《悟った達人、ナーセット》のような本質的に追加ターンがキーになるジェネラル以外だと追加ターンスペルはあくまで数ある選択肢の一つだ。そんな中でなぜニヴミゼットにおいてこれらを採用しているのかというとフィニッシュ手段を探す時間の引き延ばしの為だ。ニヴミゼット着地後のマナが回復した1ターンがこのデッキにおける最大の攻めどころだと考えているためそこを強引に引き延ばすこれらの選択は悪くない。
追加ターンスペルは打ち消された場合、大量のマナを支払いつつ守りを薄くしてしまうという欠点があるが、ここで打ち消し合戦になった場合でもジェネラルによってこちらに分がある状況となる。追加ターン、其の他のドロースペルでごまかしながらフィニッシュ手段まで走りきる。《神秘の聖域》によって追加ターン二回はたやすいためここで走り切りたい。もし失敗した時でもニヴの能力により場は壊滅、手札には打消し呪文と追加ターンを重ねると優位にゲームを進めることが出来る。このことからこれらのカード群を採用している。
3.まとめ
つらつらと海外の構築との比較を綴ってきたが、やはり33枚もの差は、ほぼ別のデッキであると言えるほどゲームプランに差が生まれる。どちらが優れているか、その答えは一概に出すことはできないがこうして比較しそれぞれの利点や欠点を分析し今後に生かすというのは良い試みであると感じた。今回の解析で試したいカードが多数生まれた。一枚一枚きちんと使用感を確かめ、よりよい構築にたどり着きたい。
https://www.youtube.com/channel/UCYMffqzsFtyN7RsrYQffnzg
https://www.youtube.com/watch?v=5LkzhLSutnM
https://www.youtube.com/watch?v=mwSruOuvsI8&t=1216s
むろんEDHの構築は人によって差異は生じる。しかし海外はこんななのかと漠然とレシピを眺めても自己の成長にはつながらない。そこで海外の構築と自分の構築を比較検討し、それぞれの違いを分析していくことにした。今回比較するのは海外で比較的メジャーだと思われる(だよね?)EDHRECというサイトにあるcEDHニヴミゼットのものを用いた。
自分の構築は以前のブログにて解説した下記のものを用いる。
https://tappedout.net/mtg-decks/niv-mizzet-parun-control-cedh/(海外)
https://ryo1zzet.diarynote.jp/202004292205363618/(自分)
共通個所計66枚
Land(25)
フェッチ8
Volcanic Island
蒸気孔
シヴの浅瀬
滝の断崖
灼熱島嶼域
統率の塔
セファラドの円型競技場
山
島9
Removal (2)
モグの分捕り
紅蓮地獄
Utility(1)
乱動への突入※海外は《一瞬》だが同型再販なため差異にカウントしない。《乱動への突入》のがイラストが上
Counterspell(10)
否定の契約
精神的つまずき
白鳥の歌
払拭
遅延
マナ吸収
否定の力
激情の後見
意志の力
偏向はたき
Mana(13)
魔力の墓所
モックスダイヤモンド
金属モックス
オパールのモックス
太陽の指輪
魔力の櫃
友なる石
イゼットの印鑑
秘儀の印鑑
独創のタリスマン
Copy Artifact
波止場の激浪者
連合の秘宝
Draw/Selection/Tutor(11)
ギタクシア派の調査
渦まく知識
思案
定業
師範の占い独楽
大慌ての探索
時を超えた探索
神秘の教示者
商人の巻物
Mistic Remora
リスティックの研究
Combo (2)
好奇心
知恵の蛇の目
Stax(3)
墓掘りの檻
呪われたトーテム像
締め付け
1.共通するカードと役割の比較
共通しているのは66枚、実に33枚ものカードが異なっていることが分かった。それではカードの役割ごとの枚数を比較する。
海外
Land(32)
Removal(6)
Utility(4)
Counterspell(17)
Mana (16)
Draw/Selection/Tutor(16)
Combo (4)
Stax (4)
自分
Land(33)
Removal(2)
Utility(2)
Counterspell(12)
Mana (18)
Draw/Selection/Tutor(21)
Combo (2)
Stax (4)
TimeWarp(5)
最も顕著なのは妨害の差だろう。海外は打消し、除去に合計27枚を割いているに対し自分のものは16枚、そのスロットにサーチやドロー、追加ターンスペルを搭載している。
この枚数の差はそのままゲームプランにも影響してくる。海外のものはゲーム序盤盤面のコントロールに徹する。ジェネラルの早期着地はそこまで重要視しておらず、妨害でゲームを長引かせ、隙を見て打消しを構えながらジェネラルを着地させる。それに対して自分のものはニヴミゼットの着地を4ターン目に安定させるように構築している。睡蓮の花ギミックに代表されるように序盤でこれらのマナ加速を目指し、ニヴが出た後の中盤以降を追加ターンや妨害でつなぎコンボを目指す。
前者が後者に勝っている点はジェネラル依存の低さだ。コントロール奪取によってニヴミゼットを取られてしまいそのままゲームエンドというパターンが発生しにくい。また序盤の脅威を弾き続けることによってゲームを長引かせることに長けている。後者と比べて平均的なゲーム速度を落とす力は高いだろう。しかしながらこの戦略には欠点が多いように感じる。そもそもEDHという多人数戦での打消し、除去は強いカードではない。プレイヤーAのカードにプレイヤーBが打消し、除去を打つとプレイヤーA、プレイヤーBがともにアドバンテージマイナス一枚、プレイヤーCDは相対的に得をしてしまうからだ。ひたすら妨害に徹すれば徹するほど、他のプレイヤーにとって都合のいい損な役回りになってしまう。
そこを解消するのがジェネラルニヴミゼットの存在だ。スペルにキャントリップ、除去を付与するこのドラゴンによって発生するやり取りを損せず、いや場合によっては大きくアドバンテージを獲得しつつ行うことが出来る。なのでこのドラゴンを早期に着地させることこそが損な役回りにならない手段なのだ。またジェネラル依存の問題点であるコントロール奪取は、手札で回避できる場面も多い。EDHでよく使われるコントロール奪取は《金粉のドレイク》、《誘惑撒き》等のクリーチャ―、《不実》、《精神支配》のようなエンチャントが主だろう(エムラクールは知らん)。前者はスタックでカードを使い打ち落とす、後者は統率者2020で2枚も加わったピッチスペルで回避可能だ。ジェネラルを早く着地させることこそがこのジェネラルで勝つために必要なことであると感じる。続いてそれぞれのカード選択を比較する。
2.それぞれのカード選択
①Land
海外土地32枚
共通25枚
《山》+1
《真鍮の塔》
《マナの合流点》
《禁忌の果樹園》
《風変わりな果樹園》
《色あせた城塞》
《反射池》
自分土地33枚
共通25枚
《島》+4
《神秘の聖域》
《硫黄の滝》
《古えの墳墓》
《宝石の洞窟》
前者が2色ランドを多く採用しているに対し、自分の方は《神秘の聖域》を活かすマナ基盤となっている。前者デッキ内の赤シンボル15に対し、後者は10であるため赤マナの総数があちらの方が多いためこれが上記のマナ基盤の背景か。
《宝石の洞窟》不採用は意外だった。恐らく序盤を除去や打消しでやり過ごす関係上手札消費を抑えたいのだろう。海外のものは7ドロー系不採用であることも関係していると思われる。
《古えの墳墓》不採用というのは検討の余地があると感じた。確かにニヴミゼットキャストに貢献しないこれを採用するよりは、貴重なマナを消費しない色マナ加速である他の土地に差し替えてもいいかもしれない。2マナ色ファクトを多くとっているリストだといいかもしれないが現状《イゼットの印鑑》、《独創のタリスマン》、《秘儀の印鑑》、《友なる石》の4枚しかとっていないため抜いてもいいかもしれない。
②Removal、Utility
海外Removal6枚、Utility4枚
共通3枚
《金粉のドレイク》
《猿術》
《横揺れの地震》
《水没》
《交錯の混乱》
《応じ返し》
《呪文滑り》
自分Removal2枚、Utility2枚
共通3枚
《サイクロンの裂け目》
自分が計4枚しか採用していないこれらの除去やバウンスを海外のリストだとプラス6枚採用している。《金粉のドレイク》は以前採用していたがサーチ不可、卓によって強さが安定しないといった点が気になり結局抜けてしまった一枚だ。この構築のように《帝国の徴募兵》、《交錯の混乱》を採用しているならいい選択だと思う。もし戻すなら3枚セットか。徴募兵持ってないんだよな・・・。
緑に負けるゲームは一定数あるため追加の紅蓮地獄として《横揺れの地震》はいい選択かもしれない。雑魚狩りだけではなく全体除去としても機能する点は評価できる。入れるならインスタントである《コジレックの帰還》と枠を争うことになるか。エドリック虐待がやはり板。《呪文滑り》は自分の《呪われたトーテム像》に引っかかる点が気になる。自分にも被害及ぼすカードと両立するのあんま好きじゃないんだよね。ここもサーチ可能な上記とセットか。《応じ返し》は使ったことがないが、流石に弱そう。一応今度試す。《サイクロンの裂け目》は必須の一枚だと考えていたがないのは驚いた。商人の巻物等でサーチする場面も多く脅威をまとめて引き飛ばし勝ったことも何度もある。あとイゼット団の透かしがかっこよくfoil映えする。
③Counterspell
海外打消し17枚
共通10枚
《狼狽の嵐》
《紅蓮破》
《赤霊破》
《呪文嵌め》
《神秘の論争》
《誤った指図》
《対抗呪文》
自分打消し12枚
共通10枚
《頑固な否認》
《秘儀の否定》
海外の打消しの多さが如実に表れた結果となった。《呪文嵌め》なんて茜ちゃんのキッチン・テーブルMTG(神。観ろhttps://www.nicovideo.jp/watch/sm32112040)でしかみたことねえぞ・・・。憎き《無のロッド》、《石のような静寂》、《溜め込み屋のアウフ》を消せる点は評価できるか。《頑固な否認》の不採用からはやはりニヴミゼット着地に対する考え方の違いが表れている。枠の問題で抜けてしまった《誤った指図》は戻したいところ。他は取るほどじゃないかな。
④Mana
海外マナ加速16枚
共通13枚
《遵法長、バラル》
《風雲船長ラネリー》
《背信のオーガ》
自分マナ加速18枚
共通13枚
《睡蓮の花》
《水連の花びら》
《火想者の器》
《ファイレクシアの変形者》
《金粉の水連》
海外が《金粉の水連》を取っていないことが意外だった。《魔力の墓所》、《太陽の指輪》、《魔力の櫃》等のマナ加速をニヴに変換するための良い選択だと思うのだが。こっちは《火想者の器》まで取ってるというのに。《遵法長、バラル》の選択は、海外のとにかく序盤は構えるというスタイルに合った良い選択だと思う。個人的にはニヴミゼットのキャストに貢献しないマナ加速はあまり信用していないが、ティムナやエドリック等の殴ることでアドバンテージを生むカードに耐久が増えるのは大きな利点。
反対に《背信のオーガ》はあまり良い選択には思えない。クリーチャーがジェネラルを含め7体と少なくガラ空きになりやすい、そのうえ長期戦を目指すこのデッキにはあまり適していないように思える。もしこのカードを戦場に出したターンにニヴミゼットを唱えようとすると(3)+R+UUUで計7マナかかってしまう。無色マナしか出ないカードが極力抑えられているこのジェネラルにおいてはそこまで無色マナのフィルターは必要ないだろう。出した次のターンにニヴミゼットを出すことを考えると戦場に置いた後一周回してしまうことになるが、一周回すリスクを背負ってまで採用するほどのメリットには思えない。もし刹那的マナ加速を求める場合でもニヴ着地後にはドローに変換可能な《発熱の儀式》、《捨て身の儀式》を選択する方がリスクが少なく、良い選択と思われる。
《風雲船長ラネリー》については検討したことなかったので試してみたいと感じた。2ターン連続で殴れると《連合の秘宝》のように機能し、ニヴ着地後にも継続してマナを稼いでくれる。《暴動の長、ラクドス》で見たことがあったので選択肢に加えるべきだった。
⑤Draw/Selection/Tutor
海外Draw/Selection/Tutor16枚
共通11枚
《帝国の徴募兵》
《手練》
《衝動》
《嘘か真か》
《明日からの引き寄せ》
自分Draw/Selection/Tutor21枚
共通11枚
《選択》
《目くらましの呪文》
《親身の教示者》
《ギャンブル》
《Wheel of Fortune》
《意外な授かりもの》
《噴出》
《発明品のうねり》
《時のらせん》
《宝船の巡航》
《衝動》は純粋に使用感が気になった。2マナインスタントで打つドロー系のスペルの中では、比較的有用な札ではあるので2マナがどれほど響くか、ドローじゃない点が目立つかどうかが採用の分かれ目か。《手練》は《選択》の方がこのジェネラルにおいては優れているように感じる。どちらも見ることが出来るカードは2枚。効果だけを見ると手練の方が両方を見たうえで決められる点から優れているが、ジェネラル着地後の強さに大きく差がある。メインフェイズの1点火力と《ショック》どちらが優れているかは言うまでもない。ここも考え方の差か。
《Wheel of fortune》等の7ドローの有無は前述の《宝石の洞窟》、《水連の花びら》の有無にも影響しているのだろう。確かにEDHにおける7ドロー系は何も考えずに採用できるようなカード群ではない。自分の7枚に対し対戦相手には新たな計21枚を配ることになるハイリスクなカードだ。ここを比較的安全な《明日からの引き寄せ》、《嘘か真か》に変えた選択はありだとは思う。長くなりそうだしここだけ別で整理するかも。
《帝国の徴募兵》は他の項目で触れたのでスルー。何かとセットで採用する札。
⑦Combo
海外コンボ4枚
共通2枚
《二人組の見張り番》
《光り角の海賊》
自分コンボ2枚
共通2枚のみ
勝ち手段の枚数については前回書いたので割愛・・・する予定だったが《光り角の海賊》についての考え方が興味深かったためそこだけ触れる。大まかに要約すると(EDHRECのCombo Glint-Horn Buccaneerの項参照)ニヴより早くキャスト出来て好奇心系と組み合わせれば4枚ドロー、さらにクリーンナップフェイズに致死量のダメージを与えられる可能性がある、また複数回ニヴが除去されたゲームの保険にもなる。1スロットでこれだけの仕事ができるのは大変大きな価値があるというものだ。赤ダブルシンボルが気になり距離を置いていたが試してみようと思った。
⑧Stax
海外妨害置物4枚
共通3枚
《血染めの月》
自分妨害置物4枚
共通3枚
《倦怠の宝珠》
ここはほぼ似通った結果となった。以前《血染めの月》、《基本に帰れ》ともに採用していたが自分に影響を及ぼす場面が思ったより多く、不自由に感じ《倦怠の宝珠》に乗り換えた背景がある。《閃光》禁止後にあまりゲームできていないこともありここは今後の環境の推移次第で再考すべきか。
⑨TimeWarp
海外不採用
自分追加ターン5枚
《時間のねじれ》
《時間操作》
《荊州占拠》
《時間の熟達》
《運命のきずな》
青いEDHなら追加ターンは入る、などとは考えていない。戦略的に必要な《トレストの密偵長、エドリック》《悟った達人、ナーセット》のような本質的に追加ターンがキーになるジェネラル以外だと追加ターンスペルはあくまで数ある選択肢の一つだ。そんな中でなぜニヴミゼットにおいてこれらを採用しているのかというとフィニッシュ手段を探す時間の引き延ばしの為だ。ニヴミゼット着地後のマナが回復した1ターンがこのデッキにおける最大の攻めどころだと考えているためそこを強引に引き延ばすこれらの選択は悪くない。
追加ターンスペルは打ち消された場合、大量のマナを支払いつつ守りを薄くしてしまうという欠点があるが、ここで打ち消し合戦になった場合でもジェネラルによってこちらに分がある状況となる。追加ターン、其の他のドロースペルでごまかしながらフィニッシュ手段まで走りきる。《神秘の聖域》によって追加ターン二回はたやすいためここで走り切りたい。もし失敗した時でもニヴの能力により場は壊滅、手札には打消し呪文と追加ターンを重ねると優位にゲームを進めることが出来る。このことからこれらのカード群を採用している。
3.まとめ
つらつらと海外の構築との比較を綴ってきたが、やはり33枚もの差は、ほぼ別のデッキであると言えるほどゲームプランに差が生まれる。どちらが優れているか、その答えは一概に出すことはできないがこうして比較しそれぞれの利点や欠点を分析し今後に生かすというのは良い試みであると感じた。今回の解析で試したいカードが多数生まれた。一枚一枚きちんと使用感を確かめ、よりよい構築にたどり着きたい。
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